2015年11月26日木曜日

東海・近畿ブロック女性農業委員研修会

  私は今、議会選出の農業委員です。女性農業委員の研修会があると事務局に声をかけていただき参加してきました。
事前にいただいた次第には、気になっていた「農業女子プロジェクト」について近畿農政局からお話が聞けるということで楽しみにしていました。
驚いたのは農業就業人口に占める女性の割合が、2014年で50.4%もあるということ。
ご夫婦で農業に従事している方が多いことを考えれば、当たり前なのかもしれませんが、先日参加した大阪府農業委員大会でのスーツ姿の人たちしかいなかった印象からすれば女性はどこに埋もれているのかと考えさせられました。
 現状として「女性が参画している経営体は販売金額が大きく、女性役員・管理職がいる経営は売上や収益力が向上する傾向が見られる」と統計などを活用して分析され、農業に果たす女性の役割が非常に大きいことが紹介されました。(株)日本政策金融公庫の調査結果では、女性役員・管理職の有無で融資後3年間の売上高増加率に13.6ポイントも差があることが示されていました。
このような状況の中、女性の活躍による農業振興策の一つが「農業女子プロジェクト」というわけです。

このプロジェクトには「私の仕事は農業です」と言えて「自分の農業をもっと発展させたい」意欲のある農業女子が372名登録されているとのことでした。企業との共同プロジェクトで、カラフルなボディカラーの軽トラックの開発や、女性でも扱いやすい農機具の開発など様々な取組みに加えて、地域ごとに交流会を行ったりと活発な活動の様子が紹介されました。

 その後、ひょうご女性農業委員ネットワークから2名の方が活動事例を報告されました。ここで印象に残ったのは、女性農業従事者は夫の付属物として農業に従事しているのではなく、自分が農業の主体者・共同経営者として生き生きと農業に取り組んでおられる姿です。
私は以前業者団体に勤めており、業者婦人の地位向上の運動に携わってきました。この時、男性が事業主で営業されている場合は夫に遠慮しながら気を遣いながら手伝う女性の姿がありました。まさに女性の地位向上を求める声は、所得税法56条(個人事業主による配偶者と親族への対価の支払いを、税法上、必要経費として認めない規定)廃止の運動へとつながりました。女性農業者の実態は地位向上を求めるより先を、すでに自分たちが主体者として取組まれているという点では、本当に所得税法56条は必要ないなと感じました。
最後はグループに分かれてのディスカッション。
長年農業委員を続けられている方や私と同じように農業委員活動を始めたばかりの人、私と同世代から70代まで幅広い女性農業委員との語らいは私にとても良い刺激を与えてくれました。
高齢化、後継者、獣害対策、農地集積などそれぞれが日頃抱えている悩みが出され、自分の経験を踏まえて意見を交流し合う場となりました。

特に改正後の農業委員会で、農業委員の総数が減る中、女性農業委員の活躍をどう補償するのかという面での不安なども出されましたが、男女共同参画社会の形成に対する機運が高まる中農林水産省から、農業委員に占める女性の割合を30%に引き上げる努力をするよう通達が出ていることを活用し、地元に帰って農業委員会議の中で声を上げていこうと盛り上がりました。

農業というのは関わりたくてもそう簡単に身近にあるわけではありません。
私は子どもの頃、祖父の農作業に連れられて段々畑で遊んだり、一緒にししとうのパック詰めをしたことや農業を学んだ経験から、農業に関わりたいという思いはあっても条件がないという中で過ごしてきました。今、農業委員をやる中でこういった女性農業者の皆さんに出会えたことで、今後やりたいことややらなければならないことがこれまでよりも自分の中で明確になった気がしています。

今日いただいたそのエネルギーを力に、茨木での農業の発展に力を尽くしたいと思います。