2016年11月30日水曜日

産学連携からの学び

本日は『茨木市産学連携交流サロン』に参加させていただきました。

 “産学連携”という言葉は聞いたことがあっても、実際にどんなことをしているのか、その効果のほどは如何なものか...という疑問は持っていました。今回は実際の事例紹介ということで、2社から産学連携の実践例を伺うことができるという絶好の機会でした。

 実践例を報告されたのは、大阪府中央卸売市場と高石工業株式会社の2社です。どちらの報告も私には新鮮で、自分の中で“産学連携”をものすごく高いハードルのように捉えていたと感じました。そして使い方しだいでは、どんな業種でも規模の大小に関係なく取り入れられるものではないかと感じました。

 大阪府中央卸売市場の報告で驚いたのは、市場で流通している食材を使ったレシピ集の開発で、野菜などを調理する場合、産地で実際にどのようにして食べているのかに興味を持たれるのかと思っていましたが、消費者はより早く簡単に調理できるレシピを求めており、産地で考えられたレシピより、学生の感覚で作られたレシピの方が消費者のニーズに合うのだそうです。
 他にもポップの作成などさまざまな形での連携が取り組まれていると伺って、“産学連携”とはどんな商店でも利用可能なのではないかと感じました。

 高石工業株式会社の報告は、大学の研究開発に協力する中で、産学連携が気軽に取り組めるようになったというもの。突然の大学からの依頼を、断らず積極的に引き受けたことで新商品開発につながり、海外の市場とも取引が始まったということでした。その後、市の産学連携スタートアップ資金を活用し、製造の過程で困っていることを大学教授に相談する形での連携が始まり、製造過程に改善が図られたことで大きなコスト削減につながったということでした。
 報告された社長の祖父が立ち上げたゴム製品製造の会社を、こういった形で継承できるなんて素晴らしいなと思い、第1部が終了してから少しお話を伺いました。
 私の印象では、職人として祖父が始めた事業を、ゴム職人をしてきた孫が引き継いだ訳ではないと感じたので、社長になるまでどのような道を歩んで来られたのかをお聞きしたかったのです。聞けば経営学部で学ばれ銀行に勤めた後、そろそろ父が引退するので跡を継いで欲しいという要望に応えて現在に至るとのことでした。ある意味頑固職人の知恵が活きるような業界で、また違った視点から社長業を引き継いでおられることが、産学連携に躊躇せず取り組むきっかけとなっており、先代より業績を上げていく要因となって、会社経営にはプラスに働いているのだと感じました。

 今回参加しての感想は、企業側の参加者の年齢層が若かったことです。茨木にある事業所でそれなりに名前も聞いたことがある企業といえば、かなりの年数営業されている訳ですが、その中で活躍されているのが30代、40代の方々であることも私には新鮮な気づきでした。

 この取り組みは茨木市産業振興アクションプランに基づくものであることが、最初に司会者から紹介されましたが、改めて、産業振興アクションプランをどれだけの市内事業者が知っているのだろうかと感じました。
 茨木市の商工業に対する予算は全体の1%しかありません。その中で今回の事例のように、うまくいけば費用対効果は10倍にもなるような取り組みは、市内事業者にもっと周知し活用されるべきです。しかし活用を軌道に乗せるには、単純に補助金の案内をしているだけでは広がりません。産学連携には“産”と“学”を結ぶ媒体が必要になります。その役割を市がどれだけ担えるのかに施策の成功がかかっているのではないかと感じました。お話を伺って、目から鱗が落ちた私自身もたくさんの事業者の皆さんに知っていただく努力をしたいなと思いました。取り組み方次第で制度の充実もこれからどんどん行うことができます。市内経済活性化につながる制度充実ができるよう、私自身も引き続き調査研究を進めたいと思います。