2019年12月18日水曜日

保育・学童保育・子育て支援施策の拡充を求める請願署名の賛成討論

 本日12月議会が閉会いたしました。
最終本会議の議題は、補正予算と「乳・幼児期から学童期までの保育・学童保育・子育て支援施策の拡充を求める」請願署名、意見書についての採決のみでした。私は請願署名に対する賛成討論を行いました。
 その内容は以下の通りです。



 請願第1号「乳・幼児期から学童期までの保育・学童保育、子育て支援施策の拡充を求めることについて」日本共産党を代表いたしまして、その願意は最もであり採択すべきとの立場から討論を行います。

  茨木市における本年4月1日時点の保育所待機児童数は23人、10月1日時点では139人にのぼっています。毎年のように待機児童解消に向けた保育所等整備方針が改定されていますが、一向に市民が安心して保育施設入所を果たせる条件が作られていません。日本共産党はこういった状況の抜本的な改善のために、次の二点を合わせた形で待機児童解消にあたることを求めます。
 一つは待機児童解消方策を考える際の基準を、国基準の待機児童数ではなく潜在的保育需要も含めた実態をあるがままに捉えた形で解消計画を策定すること、2つにこれ以上の民間頼みの保育所増設はやめ、今後の人口減少社会を見据えた形で、保育需要が減少した際にも対応できるよう、市が責任を持って公設公営の保育施設整備を進めることです。この方向こそ、市が課題と認識しておられる待機児童の解消ときょうだい入所の両方を合わせて無理なく解決できる道だと考えます。

  茨木市の保育は、民間保育施設経営者のみなさんのご努力もあり分園設置などが進められることで、営利企業の参入を許さず一定の保育の質が保たれている状態にあると言えます。しかしこれ以上民間にだけ求めることは市の公的責任の放棄と言わざるを得ません。これからは市が相当の努力をはらい、公民連携が良い状態で保たれてこそ、将来にわたって請願者のみなさんに安心していただける道だと考えます。

  保育の無償化については、日本共産党は9月議会において、安倍自公政権が「無償化」と言いながら新たに保護者負担を求める副食費について、毎年のように黒字決算を行う茨木市にはその負担能力は十分にあることを主張し、市の独自補助を求める提案を行い、請願者のみなさんの願いの方向で議会活動を進めてまいりました。


 今議会は無償化後初めての議会ということで、便乗値上げなどがないか確認する質疑が複数の議員から行われました。市は「実費徴収にかかる費用の変更を受けた施設」があること、その理由は「物価上昇や消費税増税などによる材料購入費等の増加」であり、その理由が妥当でないと判断すれば指導の対象だが、指導に至っている施設はないと答弁されました。
 しかし実態は違っています。
 主食のご飯を家庭から持参しているにもかかわらず、10月から新たに主食費が徴収されるようになった施設があります。ここには市が答弁された、実費徴収にかかる費用を変更する上での妥当性のある理由は全く当てはまりません。しかも国からは市に対して「幼稚園等における質の向上を伴わない理由のない保育料等の引き上げへの対応について」という通知が届いており、「質の確保を伴わないものについては、こういった保育料の値上げをしないように」と明記されており、不適切な場合には各自治体が指導監督等しっかり行うように、と言われているにもかかわらずその事実を把握していなかったことは重大な問題です。
 仮に「パンや麺類の日があるから」という理由をつけるのであれば、それこそが便乗値上げというのだということは施設側にきちんと指導すべき事項です。

 無償化とは「代金を払わなくてもいいようにすること」のはずです。安倍自公政権は「無償化」の意味さえ理解できずに制度設計されているのかもしれませんが、この言葉の元に制度を進めていく主体となる自治体は、せめて言葉の意味をその対象者となる方々と少しでも共有できるような行政運営を行うべきであると意見するものです。
 ここで紹介した事例は実態のほんの一部ではないかと危惧しています。改めて市が問題意識をきちんと持って実態調査していただくことを求めます。


  次に保育士・学童保育指導員の処遇改善について申し述べます。
 まず保育士については、9月議会の会計年度任用職員制度に対する質疑で明らかになりましたが、市が対数担任を補助的な業務と位置付けていることは大きな間違いです。配置基準に基づくクラス担任はどの人もそのクラスの子どもの安全や成長発達に同等の責任を負っています。職責と同等の労働条件が不可欠です。

 この観点から言えば、今年度の職員採用試験における保育士採用人数はやっと二桁になりましたが十分ではありません。今後も正規保育士の採用人数を積極的に増やしていただくよう要望いたします。

  学童保育指導員については、任期付短時間勤務職員制度は学童保育の円滑な運営に支障をきたしています。なぜなら学童保育室の開室時間は週換算で44時間になります。準備や片付けの時間を含めると、週40時間の正規雇用で働く方と同様に働いても時間が足りないことは明らかです。
 学童保育というのは子どもたちの放課後、家庭に代わる生活の場です。家庭では対応する大人がコロコロ変わることはありません。その教室にいる子どもたちを丸ごと受け止め放課後の生活を保証し安心して過ごしてもらうためには、経験を積んだ指導員の存在が不可欠です。これらを総合すれば、勤務形態を抜本的に改善し働き続ける方を増やすことで、常に募集しなければならない状態を改善することができます。
 請願者の願意を汲み取り、利用する側も働く側も真に安心できる学童保育事業に充実されることを求めます。



 小児科の夜間休日診療については、日本共産党議員団は箕面市へ視察に伺いました。機器の更新が行われないこと、医師の報酬が低い茨木市のひどい実態が、夜間休日診療を閉鎖せざるを得ない原因であったことを痛感いたしました。茨木市の子どもたちに安心できる医療を提供しようと思えば、この姿勢の抜本的な改善を望むものです。

  今回委員会審査の中で、請願者と同じ考えの立場に立つ部分もあること、真摯に受け止める部分もあること、思いが一緒だと感じる部分があることなどが、委員のみなさんから語られました。議員各位に寄せられる小児救急医療の充実に関する市民の願いが相当なものであるからこそ、賛同する部分について一定の見解を述べざるを得なくなっているのではないかとも感じました。そうであるなら茨木市議会においても、他議会で行われているように、一致できる市民の願いは部分的にでも採択する前向きな姿勢を、今後、示していただけることを願って討論を終わります。



 ご清聴ありがとうございました。