2015年12月17日木曜日

12月議会に寄せられた請願に対する賛成討論

 12月議会の最終本会議では、請願に対する賛成討論を行いました。
以下、発言した内容を掲載しておきます。

 日本共産党を代表いたしまして、請願第4号「乳・幼児期から学童期までの保育・学童保育、子育て支援施策の拡充を求めることについて」その願意はもっともであり、採択すべきとの立場から討論を行います。

私はこの請願を受けるにあたり、請願者のみなさんからお話を伺う機会がありました。その内容を大きく3点にわたりご紹介し、それぞれについて私の意見も併せて述べさせていただきます。

 1点目に保育の問題です。公立保育所では今年度2ヶ所の保育所で内装工事を行う予定でしたが行われていません。そのお金はどこに回されたのか?待機児童保育室あゆみの雨漏りの改修費用として使われたそうです。あゆみは開設当初1億円もかけて保育室として使用できるように工事を行ったにも関わらず、わずか1年足らずで雨漏りとは、建物自体の老朽度合いを見極めもせず保育室という箱さえ作れば良いという安易な工事だったのかと疑問を感じざるを得ないのですが、市は公立保育所の改装費用として計画していたお金を流用し工事を行いました。
本来、緊急を要する工事は補正予算を組んで対応すべきです。施設改善されるはずの保育所では次の予算がつくまでそのままの状態で保育が行われます。これが子どもたちの最善の利益を守っている状態と言えるのでしょうか。

 また保育料の問題では、公的保育施設に入所できた世帯では保育料の多子減免が適用されます。しかし自分で選んだわけではなく公的保育施設が満杯だからそこしか選択肢のない待機児童保育室に入室した世帯には多子減免が適用されません。保育所に申し込みながら入所できない責任の所在は、いつまでたっても待機児童を解消するだけの計画が立てられない市の責任です。こういった世帯にも多子減免は積極的に適用すべきです。

 昨今、発達が気になる子どもたちが増えている現状にあって、心理士の保育所や幼稚園への巡回は必要不可欠な要素となっています。しかしこの心理士の巡回は小規模保育施設では行われておらず、3歳児以降の連携施設で連携が図れない、大変な実態が保育現場では危惧されています。

 こういった問題が起こる背景には、国による保育制度の規制緩和があります。保育現場で働く側も預ける側も常にこの実態にさらされ、保育の質が悪くなる実感に危機感を抱いているからこそ、直接の砦となる自治体に対して、防波堤になってほしいという請願が、切実な思いが議会に届けられるのではないでしょうか。
そもそも、保育とは一定の要件のもと認可する施設で行うべきことから、児童福祉法第24条1項は自治体の保育実施責任を明確にしているのです。法に基づいた保育を実施してほしいと請願されている方々に対して、自治体として本来保育所を希望する子どもは全て認可施設に措置すべきとの法の趣旨を理解しているのであれば、認可でも認可外でもかまわないとする意見の開陳は慎むべきです。

 2点目に学童保育についてです。今回任期付短時間職員採用制度について、一定の改善が図られたことは、この間請願され続けたみなさんの思いを反映したものであり、日本共産党としても継続的に取り上げてきた問題として歓迎する立場です。しかし必要なのは経験がものを言う現場にあって、働き続けてもらえる、働き続けたいと意欲の持てる雇用形態ではないでしょうか。だからこそ子どもとの関わりで、専門性の活かせる雇用形態に改善し、働き続けたいと思える環境を、市が積極的に整えることではないでしょうか。請願者が明らかにしたように、今年は年度当初から指導員が欠員状態で保育がスタートしています。子どもにとっても指導員にとっても新制度の始まりで大変な思いで始まった年だったのではないでしょうか。本来専門性が発揮されやりがいが感じられるはずの長期休業中の保育は、短時間雇用制度であるがゆえにぶつ切りにされる、専門職だから任期付と言いながら、賃金は市民課の窓口に配置されている任期付職員と同等ではなく低いとなれば、なおさら働き続けたいという意欲もなくなるのではないでしょうか。
このような現状を把握しているのであれば、任期付短時間雇用制度が安定した職種のように主張するのは見当違いです。

 3点目に子ども医療費助成制度についてです。この問題では4人のお子さんを育てる方から実体験を伺いました。以前に住んでいた吹田市では所得制限もなくお金の心配をせずに子育てをしていたところ、茨木市に引っ越してきてから3人目が喘息で入院し所得制限にかかるため状態が落ち着いた途端、お金の心配をしなければならず、とにかく早く退院させてほしいと頼み込んだこと、次の4人目は生まれて3日後に原因不明の腸炎で救急搬送され、GCUに2か月間入院することになり、母親自身が産後で大変な中、上の子の保育施設を探し、下の子の病院に通って精神的にも肉体的にも大変な中、頭から離れなかったのは医療費のことだったそうです。
安心して医療が受けられることの違いを実感しているからこそ所得制限をなくすことに強い思いを持っておられました。この所得制限は受給資格者の所得によって決まります。この方は専業主婦でご主人の所得が所得制限を超えたところという状況であったそうですが、一方で共働き世帯で2人合わせてこの方と同水準の所得がある家庭では、受給資格者の所得としては基準額以下となるため医療費助成を受けられる対象となります。
同じ所得でも医療費助成が受けられる世帯と受けられない世帯の出るような差別を生む所得制限は廃止すべきです。

 以上3点にわたって述べた事例は、子育てしている当事者やそこで働くみなさんの声のほんの一部でしかありません。しかし一部でもこれだけ子育てしにくいと感じる市政が、本当に子育て日本一と言える自治体と胸をはっていえるのでしょうか。
請願趣旨の最後に述べられている「今の保育水準を守りさらに拡充し、茨木市として子どもの最善の利益を守り、少子化を乗り越えすべての子どもたちに格差なく良質な環境・保育内容を保障する」とは、必要としている人に必要なものが行き渡る状況を指すのだと思います。
市が提案する計画に甘んじるのではなく、積極的に議論する議会を市民は求めているのだと感じています。自分が議論した内容を伝える、その立場での意見の開陳こそ請願者のみなさんとの心の通ったやりとりとなるのではないでしょうか。
議員各位のご賛同をお願い申し上げ、討論といたします。ご清聴ありがとうございました。

 市民のみなさんからいただいた請願は残念ながら賛成者少数で不採択となりました。
今後も引き続き、市民の声を議会に届けて頑張ります。