2023年3月25日土曜日

2023年度予算への反対討論

 昨日は3月議会最終本会議でした。

私、大嶺さやかは市の提案する予算に対する討論を行いました。

以下、その内容です。ぜひお読みください。


議案第30号「令和5年度(2023年度)大阪府茨木市一般会計予算」について、日本共産党を代表いたしまして、原案に反対し組替動議に賛成の立場から討論を行います。

 

2023年度の財政規模は、これまでにない大きな規模となりました。これは全国共通の傾向であり茨木市に特化した問題ではありません。この予算を市民の生活と福祉の向上に役立てることが、施政方針で述べられた「社会的弱者の最後の砦としての基礎自治体」の役割です。日本共産党はこの立場で予算編成を行うことを求め、本会議や委員会を通じて質疑いたしました。

しかし実態は、市民が直面している物価高騰への対策は全くと言っていいほど行われず、コロナ対策についても国から言われた施策を実施するだけで、全市民的な規模で感染を拡大させないための取組みは、実施されない予算編成だと言わざるを得ません。

こういった中日本共産党は、現状の市民の暮らしを考えれば、最低限やってしかるべきと感じる施策について、予算の組替を求める動議の中で提案させていただきました。

 

コロナ対策においては、大阪府の無症状者向け無料検査が3月末をもって終了します。今後、新型コロナウイルス感染症と共存するにも、感染しているかしていないかを明確にしなければ、個人が取るべき対策は明確にならないと考えます。収入保障の制度がなければなおさら、風邪症状で仕事にいかなければ生活できない方はいらっしゃいます。人にうつさないための基本の対策を基礎自治体としてしっかり実施することが必要ではないでしょうか。日本共産党はこの立場から市独自に、無症状の方や濃厚接触の方がPCR検査できる場所を用意すべきだと考えて、予算の追加の提案に至りました。

 

また物価高騰対策では、市民の暮らし、生活費に直接支援できる制度を、この間行われた非課税世帯のみを対象とした給付金制度より幅広い市民が使える形で実施すべきと考え、実際にかかるこどもやひとり親、障害者の医療費助成制度の自己負担分を補助すること、コロナ禍において実施し子育て世帯に非常に喜ばれた学校給食費の無償化、また1月2月に実施した水道料金の基本料金免除を継続することなどを提案しています。「社会的弱者の最後の砦」と豪語するなら、それにふさわしい施策の実施を求めるものです。

 

コロナ対策が終了する中で懸念するのは、小中学校での感染症対策です。この冬も小中学校ではインフルエンザによる学級閉鎖が多数発生し、学校閉鎖に至った小学校も2校あったことがわかりました。日本共産党は2回接種を必要とする子どものインフルエンザ予防接種の費用を補助することで、この状況は回避できたのではないかと、制度を実施した2020年度(令和2年度)の学級閉鎖の状況を伺って感じています。インフルエンザ予防接種補助については、次の冬に向けて実施に向けた前向きな検討をしていただくことを切に要望いたします。

なお、質疑を通じて明らかになったのは、すでに学校施設の消毒作業を行っていないことです。これについては学校での感染症対策が変更されるもとで、感染不安でお休みされる方を減らす意味でも、安心して学校に登校してもらえる対策として、消毒作業を20203年度においても実施することを求めます。

 

以上、質疑を通じて原案に少しでも反映させるべき部分について、組替動議において最低限の提案をさせていただきました。日本共産党は2023年度の市政運営においても、時宜に応じて市民のための積極的な施策展開を求める要望を行ってまいる決意です。

 

次に、原案に反対する理由について述べます。

1点目はビルドアンドスクラップと言いながら、その実は市民の立場に全く立たず、行政の都合でしか行われていない実態です。

1100億円を超える総予算のうち、2割近くがハード面の整備で占めます。こういった整備が予定されている時に必要なのは、より補助率の良い補助金や交付金の活用を積極的に検討することです。しかし避難所としても活用される市民体育館の第一体育室への空調設置を例にあげると、防災減災関連や断熱性を向上させることで補助率を上げるような国補助を検討されたのかどうかさえわからない答弁でした。結局は補助率の一番低い学校施設に活用できる補助金が使われました。

他の整備でも確認しましたが、市が積極的に国の補助金について情報収集し活用を検討されたのか、その行動が行われたとは理解できませんでした。

必要な財源をしっかり確保することで、必ず必要な福祉的経費に回すことも市として考えるべき方向性であり、これこそ市民のためのビルドアンドスクラップです。

これは生理用品の公共施設への配置にも言えますが、内閣府が公表する生理の貧困対策において、企業と連携することで設置している事例も紹介されており、必ずしも自治体の負担にはならずに制度が導入できる事例であるにも関わらず一切検討されていない姿勢からも、市民生活や福祉の向上のために積極的に市の負担軽減を考えるビルドアンドスクラップが行われていないことは明らかです。

改めて、市民不在のビルドアンドスクラップは今後やめるべきであると申し上げるものです。

 

反対理由の2点目は、市独自施策の積極的な提案が全くなく、すべて国や大阪府から言われたことを実施しているだけの予算編成に陥っていることです。

マイナンバーカード交付事業を例に説明すると、すでに8割の申請がありながら、2023年度も引き続き出張申請などの事業を進められる姿勢が示されました。日本共産党はこの事務はこれ以上力を注ぐ必要のない事業だと考えていますが、それでも事務をすすめるのであれば、交付を望まない方の割合の把握や申請されていない方で申請したくてもできない事情があるのかなどの状況を丁寧に情報収集し今後の施策に役立てるべきです。こういったことも行わず国が提案している内容を粛々とすすめることは事務の無駄であり、市民のための施策になっていないと申し上げるものです。こういった国が示す通りやれば良いという考え方は、市が実施する施策の大半で浸透しているのではないかと考えますが、市民の置かれている現状も把握せず言われたことだけやっている姿勢が市民の行政への期待や願いとマッチするはずがなく、さまざまな場面で市職員の対応に対して市民からの意見が届く原因ともなっていると考えます。

あらゆる面で市民の置かれている現状に寄り添うこと、実態を把握することをまず行ってこそ、国が示す施策も市民に役立つ形で実施できる自治体に変わると考えます。

 

反対する理由の3点目は組替動議でお示しいたしました。

日本共産党はこれまでから、彩都開発、安威川ダム建設など無駄な大型開発に反対している立場でありこれらに関係する予算については必要ないと考えています。また、新たな特定団体優遇となっている隣保館事業についてもやめるべきという立場であり、人権予算の中から関連する部分について削除を求めます。

土地開発公社についても一般会計からの貸し付けは市民サービスを向上させるべき予算を流用するべきではないとの立場からやめるべきだと考えています。

中学校給食センターについてはDBOでの整備が市が直接整備することとの比較で大きな有益性がないことは、契約の議決の際にお示しした通りですが、日本共産党は直下に活断層のあるこの場所に、給食センターの整備を行うべきではないと考えています。震源地となりえない場所にきちんと整備することが市の責任だと考えます。

また2023年度新たに提案されている予算として、西河原公園の利活用検討が挙げられています。民間に運営させるということは、そこで利益を生み出す必要があります。大阪府内で行われている公園利活用の事例で言えば、緑を減らし有料施設をつくることでPFIが成り立っている事例が多く、公園面積も茨木市のような小さな面積でのPFIはあまりありません。スポーツ施設を含めて広げた範囲でのPFI検討は全く市民のためにはならず、検討の必要性はないと日本共産党は考えます。

さらに学童保育室の整備については、待機児童解消を理由に進めるのであれば、民間に任せる整備ではなく、春日での事例を参考に、公設での積極的な事業展開を求める立場から、予算の組替を提案しました。

 

以上原案に反対し組替を求める理由について申し述べました。

なお、原案の中でも医療的ケア児が学校や就学前施設で当たり前に暮らせるための制度の充実など、一定の市民に寄り添った施策展開が行われており、質疑を通じて保育所の指導監査をすべて実地で行っていることなど、福祉向上のための積極的な運営に努めておられることもわかりました。これらは市民のみなさんの声が届いている事の反映でもあると考えます。今では市役所の中から消えてしまった「市民の役に立つ所」のスローガンは貼りださなくても普通に取り組まれることが大切です。市政全般にわたり、市の積極的な市政運営、市民の声を反映した行政運営をすべて明らかにする時間は3月議会ではありませんでしたので、一部分を紹介するにとどまりましたが、ぜひ市民の願いに立って施策展開されていることについては、市自らが市民のみなさんへアピールしていただきたいと考えます。

 

物価高騰はまだまだ止まるところを知りません。市民生活をしっかり支える政治に切り替えてこそ、格差と貧困をなくすことができます。「社会的弱者の最後の砦」の役割を茨木市がしっかり果たすことで、市民生活を大きく変えることは可能です。

あちこちでハード面での整備が進む中、自分の住む足元は一向に道路もきれいにならないし危険箇所が放置されているなどというご意見も増えており、「自分たちの身近なまちの整備をもっとちゃんとしてほしい」という市民として当たり前の願いが今後さらにむき出しで市に押し寄せるのではないかと懸念しています。その時にしっかりと応えられるための検討を進めていただくことを最後に要望し討論を終わります。