2020年7月13日月曜日

国保コロナ減免での驚き⁈

 新型コロナウイルス感染症に罹患したり、その影響を受けて生活が大変になっている方には、国民健康保険だけでなく、介護保険、後期高齢者医療保険についても、通常とは別に保険料減免制度が創設されました。
 
 そもそもは、4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」において「感染症の影響により 一定程度収入が下がった方々等に対して、国民健康保険、国民年金等の保険料の免除等を行う」ということで始まったのがこの制度です。
 閣議決定の趣旨からすれば、「収入が下がった」方を対象にするので、現時点で昨年と比べて3割減少が見込まれることが証明される書類があれば良いのかと理解していました。
 事業者に対する給付金などは実態から判断されるため、保険料においても同様に理解していました。

 そして私のこの理解をもとに、相談者の帳簿から算出された数字を転記してもらい窓口へ提出に行かれたところ、「7月以降の見込みを書くように」と突き返された(相談者の方が感じた窓口対応の印象です)と戻って来られました。
 私も意味が理解できず同席の上説明を聞くと、12月までの「見込み額」が昨年より3割減少していれば減免される、とのことでした。

 お1人で細々と営むまちの散髪屋さんです。特に営業活動をするわけでもなく、とにかく店を開け客を待つような規模の商売に、12月までの見込みを計算しろということが、このコロナ禍でどれだけ机上の空論か、わかっていない人間が制度設計したことに怒りを感じました。

 逆に「見込み額」で下がれば良いのであれば、現状が下がっていなくても、今後の「見込み額」の書き方によっては、減免が可能ということになり、あまりにもあいまいな制度設計ではないかと感じ、厚生労働省のホームページを確認しました。

 すると下記のような問答が掲載されていました。
(問)
  事業収入等の減少については、あくまで「見込み」で判断することとして差し支えないの か。新型コロナウイルス感染症の終息が現時点では見通せない中で、年間の見込みを判断するのは困難に思うが、どのように前年の当該事業収入等と比較すればよいのか。また、事業収入等の減少を証明する書類はどのようなものが考えられるか。
(答)
 事業収入等の減少については、被保険者に対する迅速な支援の観点から、「見込み」で判断することとして差し支えない。 この「見込み」の判定方法については、例えば、申請時点までの一定の期間の帳簿や給与明細書の提出等により、年間を通じた収入の見通しを立てていただくなど、一定の合理性を担保しつつ判断いただくことが考えられる。

 上記の(問)にあるように「新型コロナウイルス感染症の終息が現時点では見通せない中で、年間の見込みを判断するのは困難」です。だからこそわかる実績で判断する方が妥当性があるように感じます。その方がよっぽど迅速に支援できるのではないかと感じました。

 こんな根拠のない数字を書かせる書類(収入申立書)の下欄には
記入内容について、明らかな虚偽の記載等、実際の収入状況から著しい乖離が認められた場合については、減免額の変更若しくは取り消しを行わせていただく場合があります
と記載されています。
 これは厚生労働省の書式にも掲載されているのか、茨木市独自で文言を加えているのかわかりませんが、見通しの持てない中で営業させられている事業者に対して、あまりにもひどいのではないかと感じました。

 今、再び感染者が増えている中、営業自粛を迫られるかもしれない状況の中で、だれが根拠のない数字の虚偽を判断するのか、またこの用紙の中に(答)に書かれている「一定の合理性」はどのように担保されているのか、全く不明です。
 これでは担当者の恣意的な判断で、減免が取り消される可能性もあります。国保に関してはそう疑わざるを得ない行政運営が茨木市では行われていると感じています。

 いわゆる制度を知らなければ置いていかれるであろう階層の相談に乗り
「誰のための何のための制度か?」「ちゃんと民のに立つとしての機能が果たされているのか」疑問と怒りを感じた日でした。