2025年2月13日木曜日

日米首脳会談で見えたこと

  2月7日(日本時間8日)石破首相とトランプ大統領の会談が行われました。

 トランプ大統領は1月20日に就任して以降、温暖化防止のためのパリ協定からの離脱やガザ住民の強制移住など、国際的に合意されている方向性と逆行する立場で政治をすすめています。

 このような人物に対して、日本の首相がどんな態度を表明するのかが問われた会談でした。

 しかし結果は、独立国としての意見をしっかり主張する役割は果たさず、アメリカの要求にノーとは言わない従属的立場を世界にさらして終わりました。私が感じたことをテーマ別に列記したいと思います。

<国際秩序の観点から>

 イスラエルやロシアの暴挙に対して、国連憲章と国際法に基づいて世界の国々が一致して対処することが必要です。しかしトランプ大統領がガザで行おうとしていることは人道的にも世界から避難されて当然の内容であるにもかかわらず、石破首相はこの点に一言も触れずに会談を終わりました。国際的に一致して対応すべき事案に対してモノが言えない国で良いのか?私は疑問に感じました。

<貿易の約束>

 トランプ大統領と言えば、関税の問題が連日ニュースを賑わしています。今回の会談では日本に対する貿易赤字の穴埋めに液化天然ガスを日本がさらに輸入することが合意されました。日本は今でも国連気候変動枠組条約の締約国会議が開かれる際には世界の市民団体から化石賞をもらうほど気候変動に後ろ向きと見られている国です。パリ協定からの離脱を表明した大統領に言うべきは温暖化防止の方向で一緒に取り組みをすすめようということのはずが、逆に温暖化をすすめる方向で合意されたことは重大です。

 今でも輸入した液化天然ガスは国内で使い切れずに約4割を海外に転売している状態です。使い切れていないなら逆に輸入量を減らす交渉こそすべきです。

<誰のための防衛か?>

 武器の爆買いも文句を言わずにホイホイと約束してきました。

 日本は憲法9条を持つ国であり、唯一の戦争被爆国です。防衛でまずすべきは、被爆者団体のみなさんのように、二度と同じ思いを国民にさせないための非戦の取り組みです。

<以上のことから>

 これらはすべてお金の絡む話です。アメリカに奉仕するためのお金はみなさんの大切な税金から賄われます。石破首相が勝手に使い方を決めて良い問題ではありません。国民みんなの財布の中身は国会できちんと議論し国民合意を図るべきです。特に賃金水準も物価対策も世界から大幅に遅れを取る中、外へのバラマキではなく国内の経済再生に本気で取り組むことが求められています。

自民党は今回の会談を「力強く、揺るぎない日米同盟」「日米の新たな黄金時代」と表現しており、12日の参議院本会議で代表質問した日本共産党以外の政党はこぞって石破首相の訪米を持ち上げました。日本共産党は自民党政治の根本にあるアメリカ言いなりの政治を変えることが必要だと考えています。アメリカと一緒になって戦争する国へと突き進むのではなく、国民の命とくらしを一番に考えれば「これ以上武器は買わない」「世界の秩序を乱す行為は止めるべき」と率直にトランプ大統領にモノ申すことこそ、主権を持つ国としてのやるべき外交だったのではないかと感じています。