この間、新型コロナウイルス感染症に関わる補正予算を二度に渡って議決してきました。第三弾となる今回のコロナ関連補正予算については、これまで日本共産党が提案してきた内容が含まれており、評価するものです。しかしコロナ対策はこれで終わりではなく、第2波第3波への備えが必要になります。今年度は刻々と変化する感染症とのたたかいに合わせた予算編成が必要になります。この点について、市の考えをお示しください。
まず、これまでに提案されていない内容で、今後必要ではないかと感じる部分についてお尋ねいたします。それは小中学校の環境整備についてです。日本共産党はこのほど「学校再開にあたっての緊急提言」を発表いたしました。この間実施した子どもアンケートをもとに、学校再開にあたっては「一人一人を大切にする手厚い教育」と「子どもの実態に応じた柔軟な教育」が必要であること、そのための条件整備が必要であることを明らかにしています。特に「3つの密」を避け、感染防止のために絶対的に必要である「身体的距離の確保」、いわゆるフィジカルディスタンスが守れないのが現在の40人学級の教室です。この問題についてはこれまでも質疑してまいりましたが、茨木市では支援学級在籍児童を含めると45人を超えるクラスも存在します。日本共産党が実施した子どもアンケートでは、「相談したいこと」への一番多い回答が「コロナにかからない方法」です。現在行われている分散登校が終了すれば、子どもも教職員も感染への不安の中、学校生活を始めなければなりません。今こそ、少人数学級で学校運営ができるよう検討すべきではないでしょうか。それがコロナ対策になるだけでなく、冬のインフルエンザ流行期における学級閉鎖を減らし、安定した学校運営ができる道ではないかと考えますが、見解をお聞かせください。
次に、小中学校の感染防止対策については、5月臨時議会での議決と今回の教職員へのマスク配布と予算措置が行われますが、これで十分とお考えなのか、答弁を求めます。
さらに感染予防用品については保育施設や幼稚園、小中学校で予算化されますが、施設の感染防止対策に関する仕事をそれぞれの施設に従事する方々へ任せてしまえば、今でも負担が重い中、大変な加重労働となります。ここは思い切って感染予防対策を行うための人員を配置し、保育や教育にきちんと専念できる体制を整えるべきではないかと考えますが、見解をお聞かせください。
学校が休校した間、ファミリーサポートセンターを利用する方が増え、その利用料補助が行われました。子育てする側にとっては緊急事態に手助けしてくれる非常にありがたい存在である援助会員に対するコロナ対策のサポート、感染防止対策についてはこれまで予算上では計上されておりませんが、実施されているのであれば答弁をお願いいたします。
次に今議会に提案されているコロナ関連の補正予算についてお尋ねいたします。
一つ目に商店街等への支援です。ここで大切なのは、感染リスクの高い方や高齢者等が在宅で安心して利用できる仕組みを作ることです。この補助制度の議案説明では、オンラインストアなどの取組みが紹介されていますが、ネット環境のない世帯にも行き届く仕組みを構築することが、アフターコロナでの市民生活向上に繋がります。5月臨時議会で議決した一人暮らし高齢者へのマスク配布は、不安解消を目的とされていました。こういった観点とつなぎ合わせ、高齢者の見守りも含め御用聞き的な事業も補助対象となるのか、なるのであれば周知していただきたいと考えますので、答弁を求めます。
さらに市内の商店街の中には、商店街だけでさまざまな事業ができるほど元気なところばかりではありません。これまでに茨木市が培った産学連携の仕組みを、コロナ対策にも取り入れ、買い物難民を生まない仕組みづくりに役立てることに対して、補助金を出すだけでなく市が積極的な役割を果たしていただくことを求めるものですが、見解をお聞かせください。
二つ目に子育て支援総合センターの体制充実についてお尋ねいたします。コロナ禍で虐待や家庭内暴力、女性の人権などが世界的にも大きな問題として認識されています。子どもに対する対策の強化が行われることは歓迎するものですが、それ以外の事案についての対応はどうなのでしょうか。特に、中高生の思わぬ妊娠がコロナの中で国内では増加しています。こういった事案は今回充実される体制で支援される対象と考えても良いのでしょうか。答弁を求めます。
また茨木市では、こういった中高生を含む望まぬ妊娠に関する相談が寄せられているのかどうか、女性や性的マイノリティの方からの相談件数について、コロナ前と現在とで違いはあるのか、合わせて答弁を求めます。
続きまして、施政方針で示されました六つの重点課題についてお尋ねいたします。
一つ目に「みんなで食べる中学校給食の実現」についてです。
日本共産党も長年求めてまいりました、中学校全員給食の実現の道筋がやっと見えてまいりました。大切にしなければならないのは、これまでの選択制で利用率が向上しなかった中学校給食の課題を直視すること、茨木市の小学校給食で培ってきた美味しい学校給食を中学校でも実現するための手立てです。
昨年度末に中学校給食審議会の答申が出されました。私も審議会を傍聴いたしましたが、活発にご議論いただいた内容がきちんと反映されたとは到底言えない、結論ありきで恣意的に資料を作り上げていった末の答申だと感じています。
そして今年度は給食センターの事業手法の検討を行うことが施政方針で説明されました。まず、センター方式で検討する前提となる事業用地の目処はあるのか答弁を求めます。
さらに今後の見通しとして全員給食の実施時期はいつなのかお答えください。
日本共産党は温かくて美味しい中学校全員給食の実現には、災害時や長期的な人口推計のことも考えると、自校と親子調理方式も合わせたさまざまな方式で実施することが望ましいと考えます。中学校給食審議会でも自校、親子調理方式を望むご意見も出されていました。審議会での議論の過程も大切にし、これから基本計画を策定するにあたっては、茨木市特有の道路渋滞や、食中毒が発生すればセンター方式であれば全てがストップするデメリットも含めて、実施に向けた検討は行うべきです。さらに対話を重んじる市政運営を行うとのことですので、今後についても市民意見を聞く機会を設けて取り入れるべきではないかと考えますが、見解をお聞かせください。
特にこの間、コロナ対応の中で、茨木市では学校休校と同時に学童保育の一日保育が実施できたのは、学童保育が直営で運営されている利点であると他市の状況を見ても感じます。給食センターは直営で行い、災害時には食事の提供もできる体制にすることが、次なる茨木で市民に安心していただける道ではないかと感じますが、見解をお聞かせください。
二つ目に「救急病院の誘致」についてです。
日本共産党は10年先、20年先の茨木の医療を見据えると、今でも貧弱な救急医療体制の充実を図るには、現在掲げられている国や府の医療体制の方針からして民間に任せる病院誘致には限界があり、市民の命を守る砦は市が責任を持って運営する市民病院を設置することでしか解決の道はないと考えます。
国の示す医療の方向性は、安倍自公政権によって公的・公立病院の統廃合や病床縮小の方向性が打ち出され、コロナで急性期病床の不足が叫ばれる中でもその方針は変更していません。三島医療圏域では「高槻赤十字病院」と「北摂総合病院」が名指しされ、茨木市民もよく利用する病院が病床削減・統廃合の対象に上がっています。さらに維新府政による地域医療構想では、医療圏域内の急性期病床を削減し回復期への転換の検討が行われています。このような状況下で病院誘致ができる展望があるのでしたらお答えください。
これまでも病院誘致については議会のたびに質疑していますが、昨年度の検討状況についてさえ何も示されていない中で、今年度は何をどう検討されるのか、具体的な答弁を求めます。
福岡市長はこの4年間の重点課題の一つに病院誘致を挙げておられます。任期中に実現する予定で表明されておられるのでしょうか。実現までのスケジュールについて、今のお考えをお示しください。
今、こうしている間も、救急医療は待った無しの課題です。今議会に提案されたコロナ関連補正予算を見ても、コロナ感染に対応し、24時間体制で入院治療を必要とする重症救急患者に必要な検査や治療を実施する救急医療の提供を行う地域医療支援病院は茨木に1ヶ所しかありません。市内に病院がないわけではありません。28万市民の命を守るためには、地域医療支援の機能を持つ病院を増やす手だてを取るなども含めて、医師会と救急医療について真剣に議論する場を持っていただくなど、コンサルに委託する以外に今、やるべきことが他にもあると感じますが、お考えをお聞かせください。
また市民からの強い要望である小児救急の再開については、病院誘致まで放置されるのか、何らかの手立てをお考えなのか、答弁を求めます。
救急医療は基本的に不採算部門であり、近隣の自治体を見ても、市民病院が市民の命に責任を持つ立場で運営されています。茨木市民の救急医療の充実を願う思いに応えるには、市が責任を持って設置しその役割を果たすことこそ求められていると感じますが、見解をお聞かせください。
これまでにない状況の中、何よりも求められるのが、感染症への対策です。第2波、第3波に備えて、医療資源の充実と検査体制の充実は国や府に任せるだけで十分とは言えない状況があります。茨木市内の病院の中には建替えを行い既存の施設は残されているところもあります。こういった場所をコロナの療養施設として一時提供をお願いするなどの方策は考えられないのでしょうか。
また彩都では税制優遇によりバイオ関連企業が軒を連ねている中で、検査体制充実への協力などの働きかけを行うことも、一つの方策ではないかと考えます。
市として積極的に、使える資源の有効活用という視点で国や府に提言を行い共にコロナ収束へ向けた取組みに対する役割を果たすことができるのではないかと考えますが、見解をお聞かせください。
三つ目に「駅前の再整備」についてです。
日本共産党は駅前再整備の考え方の基本として、巨大化、超高層化は行わず、バリアフリー化と駅前緑化・防災空間の創出を中心に据えるべきと主張してまいりました。阪急茨木市駅、JR茨木駅、両駅西口整備に際して、こういった観点からの整備検討が行われているのかどうか、お聞かせください。
また阪急茨木市駅駅前再整備にあたっては、西口と東口の一体的な再整備計画の策定を求めてまいりました。日本共産党は東口について、府営住宅の跡地として現在駐輪場、駐車場として活用されている場所の再整備にあたっては、防災空地として緑地空間とし、市民が憩える駅前環境の整備を求めています。今回施政方針で示されている「東口との連携・連鎖」は駅東側のどの範囲を想定しているのか、また今述べた整備の手法も検討対象となっているのか、お答えください。
そして地区計画の変更にあたっては、多くの市民が利用する駅前であることに鑑み、ワークショップやシンポジウムなどを行い、地権者のみならず市民意見を広く集約できる手法を取り入れるべきだということも主張してまいりました。阪急茨木市駅西口周辺の再整備については今年度の都市計画決定が示されているわけですが、都市計画法に基づく市民意見募集以外の方法は行われるのか、また市民に計画を示すまでの間に地権者以外の市民や駅前利用者の意見を参考にする機会は設けられたのか、お答えください。
四つ目に「安威川ダム周辺整備」についてです。
大阪府は5月28日に河川整備審議会を開催し、安威川ダム建設事業費を140億円も増額することを決めました。全体事業費は1676億円となり、当初876億円で始まった事業は倍額まで膨れ上がりました。問題は今回の増額の約半分、46%が自然災害による被害で補修が必要になった費用であること、残りのうち29%がコア材採取量不足など現場条件にかかるものであるということです。誰が見ても否定することのできない人件費の上昇など社会情勢の変化によるものはわずか25%しかありません。作り終えてもいないのに、補修が必要になる場所が、ダム本体工事に必要な材料不足が今頃判明する現場が、ダム建設に本当に適しているのかが問われる事態です。
ダムと言えば、2018年7月の西日本豪雨で、愛媛県の野村ダムや鹿野川ダムの放流により人命を奪う被害をもたらしました。この間の災害は、ダムが治水の役割を果たし得ないことを示しています。その上に、安威川ダム建設現場ではまだ完成もしていないのに災害による被害で多額の税金を投じて補修する必要が出ている実態は、安全な治水対策には程遠いのが現状で、流域に住む市民の不安は増大するばかりです。専門家も今回の増額について「当地域は全体に、断層密集地帯で、花崗岩の風化も顕著で、ダム地盤に向いておらず、今後とも、問題が解決されておらず、色々課題が出てくるのは必至である」と述べています。大阪府とともに流域住民の生命と財産を守る立場にある茨木市が、災害のたびに対策が迫られるような場所でのダム建設はやめるよう進言する必要があるのではないかと感じますが見解を求めます。
さらにこのような場所での周辺整備は、訪れる方の安全の確保という観点からもきっぱり中止すべきです。見解を伺います。
特に今年度はコロナ対策にお金も時間も割く必要がある中で、ダム周辺整備にお金も時間も使う必要があるのか疑問です。その必要性について答弁を求めます。
五つ目に「待機児童問題」についてです。
日本共産党は、国の示す待機児童のみならず、保育を必要とする全ての市民が児童福祉法第24条に基づいて保育所に入所できる方向で保育需要は見込むべきだと考えます。現在国の待機児童の定義に該当せず、待機児童にカウントされない保育所入所希望者はどれくらいおられるのか、お答えください。
施政方針では施設整備に際して「保育の質」を確保することを述べられています。ここでいう「保育の質」の意味合いについてご説明ください。
茨木市では小規模保育施設が多数作られ、保護者は仕事に復帰するために空いている保育施設になんとか入所した後、2歳児を待たずに転園希望を出しても転園できず、毎年保育園探しに追われる家庭もあります。幼児になってから保育所に預けようとしても空きがなく、待機児童保育室での保育よりは幼稚園での集団保育を勧められ、保育所に行きたいのに行けない状況も生まれています。
また、小規模保育施設ではワンフロアでの保育で、感染症が発症した場合に0歳児も含めた集団感染は、あっという間に園内全体に広がります。これが果たして質を確保した保育行政と言えるのでしょうか。見解を求めます。
これからの待機児童解消はこういった問題点も踏まえ、0歳から就学前まで安心して通える保育施設の増設を望むものですが、見解をお聞かせください。
さらに乳幼児健診で発達課題を指摘され、療育を受けるお子さんの中には、集団保育を勧められ3歳児での幼稚園入園を検討する方がいらっしゃいます。それぞれに教育方針の違う幼稚園を調べ入園に向けた準備をするのはとても苦労のいることです。中には「地域の公立こども園を希望したがいっぱいで無理だった」という方もいらっしゃいます。日本共産党は公立幼稚園のこども園化を始める当初から、入りたくても入れない人を生む施策はやめるべきと指摘しましたが、実際に問題が起こっています。子どもの発達にとって早期集団保育を進める必要のある家庭があるのであればなおさら、公立幼稚園の3歳児保育は必要であり実施すべき施策ではないかと感じますが見解をお聞かせください。
誰もが、住んでいる地域の施設、希望する施設で保育や教育が受けられてこそ、待機児童問題は真の解決を迎えます。市長にそのお考えはあるのか伺います。
六つ目に「新しい市民会館建設」についてです。
日本共産党は市民会館の建替えについて、市民に使われ、愛される市民会館とするため、広範な市民意見を取り入れて建設すること、直営で運営は行うこと、計画の肥大化を避け身の丈にあった施設建設を進めることを申し上げてきました。コロナで仕事を失うなど市民生活が急変している中で、市役所周辺だけは豪華に様変わりする事態が、市民にとって気持ちよく受け入れられる整備となるのかは、情勢の変化に応じて今一度考える必要があります。今後の計画について、コロナ禍において検討し直した部分があればお示しください。
特に建物解体後、広場として整備した元市民会館の部分についてはこれ以上お金をかけないという決断も必要ではないかと考えますが、見解をお聞かせください。
今年度はワークショップなどさまざまな手法を行うことが計画されていました。これについてはコロナの影響もあり変更を余儀なくされるとのことですので、具体的な実施内容についてお示しください。
最後に今年度の市政運営についてお尋ねいたします。
日本共産党は財政運営について、大規模プロジェクトの財源作りを目的とする財政運営は抜本的に改め、年度末の黒字圧縮のための当初予定になかった財政調整基金の取り崩し減額や積み増し、年度末駆け込みでの道路用地買収や適正な事業債発行を抑制する等の会計操作は中止し、市民犠牲によって生まれた黒字は暮らし、福祉、教育予算に振り分ける積極的な財政運営に転換することを一貫して求めています。今年度はすでに財政調整基金によりコロナ対策が行われているところではありますが、今年度の財政運営計画について、本格予算編成にあたり変更した点があればお聞かせください。
特に臨時財政対策債の極端な発行抑制については行うべきではないと決算でも指摘しているところです。今年度の臨時財政対策債の発行予定額について答弁を求めます。
今年度は新型コロナウイルス感染症に伴い事業の休止等の見直しが提案されています。コロナ対策が第一となる年度において、必要な手立てであると理解いたしました。そこで確認しておきたいのは、主要大型プロジェクトについては見直しが行われたのかどうか、詳細な答弁を求めます。
今、コロナ関連の支援施策がやっと市民のみなさんに行き渡り始めたところで、議員各位にもたくさんの問合せが寄せられていることと思います。憲法25条では「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ことが明記されており、コロナで市民生活が制限された中でも、どう憲法を守った生活を送ることができるか、政治の役割は大きいと感じます。
新型コロナでの自粛が始まる前の茨木市政では、生活保護受給者が、医師の指導のもと引越しを希望しても何ヶ月も放置されることや、障害者に対して配食サービスを切り捨てようとする事態が起こっていました。これが福岡市長が施政方針で示されている「安心・安全」や「豊かさ・幸せ」が実感できる市政なのでしょうか?
今、コロナの影響も相まって市民生活は深刻な状況です。市長が目指される「次なる茨木」が、誰にとっても公共の福祉のもと幸せを享受できる市政としての運営責任を果たしていただくことを強くお願いして、日本共産党を代表しての質問といたします。